「アジャイル開発とスクラム 第2版 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント」を読む

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「アジャイル開発とスクラム 第2版 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント 」を読む。

アメリカ人が作ったアジャイル開発の1つの手法であるスクラムは、元々は、日本人の野中郁次郎、竹内弘高氏の論文「新しい新製品開発ゲーム」の中のコンセプトである「スクラム」から生まれたものである。

本書は、その野中氏と日本のアジャイル開発を引っ張る平鍋健児氏、及部敬雄 氏の共著書である。

本書では、スクラムを定義しているスクラムガイドをなぞるだけではわからない、スクラムが「スクラム」という形になる前の、マグマのような生々しさを感じることができる。

野中は言う。

では、最初にあるべきものは何か。それは、自分自身のうちにある真剣で熱い思いです。それを自らコミットして世界に投げかけ、周りの人々も巻き込みながら、実現するまでやり抜く。それが知識創造であり、イノベーションだと思うのです。思いがイノベーションとして結実する過程は、このように個人の知が集団の知、組織の知となり、やがて再び個人に帰っていきます。そういう知識創造の場を作る方法が、スクラムだろうと私は考えています。
「第12章 スクラムと実践知リーダー」

ほとばしる熱さである。 我々は、ここまでスクラムに熱さを感じていただろうか?
そうです、スクラムは熱いのです。

本書で紹介している、本田宗一郎に関する逸話は、個人との対話を重視するアジャイル開発そのものである。

相手と目線を合わせながら、自分の思いを形にする設計を、ポンチ絵で工場の床にその場で描いて議論している。このような共同化からの表出化は決して会議室での形式的なミーティングでは起こらないのです。一連のプロセスが、その場その場の対話を通じて起こっていくのです。
「第12章 スクラムと実践知リーダー」

スクラムを形式的に進めることで満足してはいけない。
この時の本田宗一郎のような思いで仕事に取り組めているか、そこが問われている。
そして、アジャイル開発の本質は、そこにあるのだと思う。

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